最近の夏コミでのもっぱらの関心事といえばやはり雨! 今年は降るのか降らないか…。これについてはもはや『降ることを覚悟して、降ってもいいように迎撃対策を整えておく』しかない。
 長時間屋外で待機する一般参加者も、自分自身以外に多量の本を搬入、展開しなければならないサークル参加者も、(もちろん準備会側も…)すでに雨対策は必須事項なのだ。

1:夏の雨だ。濡れて行こう…?

 夏の雨と聞くと『濡れても乾くし暑いから大丈夫じゃないかな』という意見が聞こえてくる。しかしながら、現実にはむしろ夏の雨の方が身体的な負荷は大きいのだ。そのからくりと対策を解き明かしていこう。
 
 まず、雨が身体的な負担が大きい最大の理由が、【衣服が濡れることによって、体温の調節ができなくなり、温度差に対応できなくなるから】である。
 通常、人体は体温が一定以上に上がると汗をかく。汗は外気に触れて蒸発し、その際に気化熱として熱量を奪って体温を下げるのだ。これを蒸散作用と呼ぶが、この時、汗は極力広い面積から、極力小さな水の分子になって放出される方が効果的だ。バケツ1杯の水をそのまま放置しておくのと、コンクリートの上に撒いてしまうのとでは後者の方がずっと早く蒸発させられるのは想像に易いだろう。
 そのコンクリートにあたる役目を果たすのが衣服だ。人体は衣服にかいた汗を吸収させ、衣服の表面から蒸散させるることによって一定の温度を保ち、皮膚と衣服との間で一定の温度の空気を確保して保温し、体温を維持している。
 そのために、衣服が濡れてしまうと体温調整がほぼできなくなってしまうのだ。先の『バケツの水』の例でいえば、コンクリートの表面にプールのように水を張ってしまったら、それはバケツと差がない。むしろ水の総量がバケツよりはるかに多いため、より蒸発に時間がかかることになる。
 濡れた服に奪われる体温は、外気の気温とはあまり関係がない。空気よりも水のほうが熱伝導率が高いためで、『30℃の部屋は暑いが、30℃のお風呂はぬるい』という例のとおりだ。
 『体温調節ができない』と聞くと、まず身体が冷えることで体力を消耗する危険性を思い浮かべるだろう。しかし、真夏に濡れた服を着込んでいる時に身体にかかる負荷はそれだけではないのだ。

 通常、周囲の湿度が低ければ、濡れた衣服は体温を奪うことで外気に水分を蒸発させ、徐々に乾いていく。しかし、夏の雨天時のように気温は高いが湿度も高い、という環境下では、外気と人体の温度差が小さく、ともすれば外気より濡れた服を着ている人間の方が温度的に低くなってしまうため、非常に乾きにくい。
 そういった状態で濡れた服が肌に密着していると、身体的には皮膚表面の感覚から『体温より周囲の温度が低く、身体が濡れて冷えている』と判断してしまうのだ。身体は低体温症を予防しようと積極的に体温を上げようとし、しかも体表が濡れているため汗をかきにくく、かいた汗が蒸散作用で体温を奪うこともないため、ただでさえ気温が高いところで更に体温が上がってしまい、結果的に熱中症を起こしてしまうこともある。
 そこまでは少々極端な例ではあるが、雨が降っていてもバスや電車の中では冷房がかけられているし、会場の中に入れば大変蒸し暑い。雨に当っている時といない時でも体感気温は大きく違う。そういった環境下で、濡れた服によって体温調節機能がうまく働かないとしたら、それだけで余計に体力を消耗し、体調を崩しやすくなるのは想像できることだろう。
 もちろん、前年夏のように気温が異常に低いことも考えられる。そうなったらもはやお馴染み【低体温症】の危険も避けられない。
 何分にも、コミケ会場では、着替えを持参していても着替える場所が限られる。季節や気温に関係なく、簡単に着替えることができない状況下ではとにもかくにも服は濡らさないことに尽きるのだ。
 特に自分自身よりも搬入荷物に気を配ってしまいがちなサークル参加者に気をつけて欲しい事柄だ。

2:濡れない、濡らさない、濡れたままにしない

 夏の雨と冬の雨には対策上大きな差がある。言うまでもなく、周囲の気温だ。冬は気温自体が低いため、雨に対する考え方も防寒の延長となる。簡単にいえば、レインウェアやアウトドア用の防寒・耐雨ジャケットを着込んで完全武装し、とにかく身体に雨を到達させなければ勝ちだ。
 しかし、夏となるとそう簡単にはいかない。いくら気温が低くても冬とは比べものにならない以上、自分の身体から発する汗にも注意を払わなければならないからだ。
 あなたは雨の時にビニールのカッパなどを着込んでいたのに、いつの間にかびしょ濡れになってしまっていたという経験はないだろうか?
 残念ながら安価に入手可能なビニール製の雨具では雨を完全に防ぐ事はでず、長時間着用していれば多少なりと浸水してくるのはどうしても避けられない。しかし、実際にはそうやって外部から侵入してくる雨よりも、雨具によって外気に蒸散することを妨げられた汗の水分が雨具の内側で結露し、衣服や身体を濡らしていることの方が多いのだ。
 人体は意識していなくても普段からかなりの量の汗をかいている。その汗は一旦衣服の繊維に吸収され、衣服から衣服へと徐々に移りながら拡散して、体温を奪いつつ衣服の表面から外気へ放出されているのだが、雨具など通気性のないものでこれを妨げてしまうと、奪われることのない体温と蒸発できない汗は雨によって冷やされた雨具の裏面で結露して服をどんどん濡らしていく。濡れた服は温度と湿度の調節機能を失うため、さらに体感温度が上がり、汗をかくという悪循環に陥ってしまう。
 夏は当日の気温などの条件にもよるが、完全な防水を試みるよりは多少濡れても、繊維に水分が残らず、乾きやすい服を着、薄手の上着やシャツをさっと着替えるという考え方の方が状況に即しているといえるだろう。
 その考え方にそって着衣を考えてみよう。

・下着/肌着

 身体に直接触れる面積の大きいこれらがびしょ濡れにならなければ、他が多少濡れても比較的快適に過ごすことは不可能ではない。
 特に女性の場合は他の着衣との兼ね合い上からも選択肢が多いゾーンではあるが下着そのものはともかく、直接肌に当る肌着やTシャツ類には化学繊維(化繊)が混紡されたものをチョイスしよう。それだけで驚くほど快適性が変わってくる。
 なお、参考までに、衣類に混紡される化繊は主に『ポリエステル』系のものと『ナイロン』系のものに大別されるが、一般的に『ポリエステル』の方がはるかに乾きやすい。
 綿との混紡率は肌触りなどの好みの範疇だが、化繊の占める率が高いほど速乾率は高いと考えてよい。また、布地そのものがメッシュ状などの立体的な構造になっているものほど、肌との直接接触面積が小さく、吸収された汗が外部に移動しやすいためにさらりとした着心地となる。
 かつてはアウトドアや一部のスポーツウェアにしか存在しなかったこれらのウェア類も最近では大分安価かつ一般的に流通するようになってきているので、自分の汗かき度や肌質に合うものを探してみよう。
 価格なりの価値は絶対にあるアイテムだ。
 なお、どうしても綿100%の肌着やTシャツ類を着るなら、ある程度厚みのあるものを着るか、2枚重ねて着るなどの工夫をしよう。吸水性に比べて乾燥性では劣る綿の性能上、吸汗性能は1枚ではすぐに飽和状態になってしまうからだ。
 少々わき道に逸れるが、一度汗や雨でぐしょぐしょに濡れてしまった綿の衣類はなかなか乾かないだけでなく、不快な臭いを発することにもなる。
 特に臭いに関しては自分が気付かない、気にしないとしても周囲はそうではない。ただでさえ人間の密度が極めて高い空間なのだ。【自分が不快である以上に、周囲を不快にしない気配り】、これが現在のコミケに最も必要なものと言っても過言ではない。

・シャツ/上着

これはもうファッションの範疇なので個人の任意だが、とにもかくにも、着ていくものとは別に1枚、薄いものでよいのでシャツか上着は用意していこう。これはビニールの袋などに入れて万一の際も濡れないようにしておくとよい。濡れた場合の着替えだけでなく、飲食店や車内など冷房がきつい場合など、あると何かと心強い。
・パンツ/スカート
 最初から雨が降っているのなら、または降雨が予想されるなら、ジーンズや革などの濡れたら乾かない素材は絶対に避けたい。特にジーンズは生地自体が厚い以上に、構造的にも乾きにくく、さらに濡れると縮んで脚を動かしにくくなるなど、メリットがない。
 身体的にも大きな面積を覆い、かつ足腰というコミケでの活動の肝ともいうべき部分をカバーする衣類だけに、ここも素材的に気を遣い、ポリエステル系化繊の混紡された軽量で乾きやすいものを選択したい。

・靴下/靴

 快適に過ごす、という命題において実はかなり重要な位置にあるのが靴下だ。
 例え完全防水の靴を用意しても、夏場ではそういった本格的な靴はかなり暑い。かといってサンダル類は靴ズレが怖い。浅い形状の靴ではどうしても足首から浸水してしまう…と、なかなか悩ましいポイントになるのが
足元だ。
 例え足が濡れてしまってもなかなか靴を履き替えるのは難しい。濡れた靴を履きつづけていると靴擦れやマメの原因となり、思わぬところで行動力を奪われてしまいかねない。
 そこでポイントになるアイテムが靴下だ。
 靴下ならば替えを携帯することも、はき替えることもそれほど困難はないだろう。
 靴下などどれでも同じと思うかもしれないがさにあらず、実際には様々な素材が用いられている。その中でもこういった用途に対して最高性能を発揮してくれるのがウールだ。ウールや、繊維自体に水分を溜め込まないという性能を模したポリエステル系繊維などの靴下をはいていれば、靴そのものが濡れていても足自体は比較的ドライコンディションを保つことができる。逆に綿やナイロン系はせっかく履き替えてもすぐに濡れてしまうので効果に乏しい。せっかく持参するならきちんとそれなりの効果を期待できるものにしたい。
 アウトドア専門店などにはクッション性、サポート性、速乾性、抗菌・防臭…と様々な付加機能が盛り込まれた靴下が何種類もあるが、コミケの用途には【速乾性を優先した中薄程度の厚みの、ライトハイキング用】を選択すればほぼ間違いない。これも価格以上のありがたみを実感できるアイテムだ。
 専門的なものでなくても、たとえ100円ショップで購入する場合でも、素材表示はチェックしておこう。
 靴に関しても、防水スプレーなどでは一時しのぎ以上の防水は期待できない。
 それでもとにかく完全防水にこだわるか、濡れても乾く靴を検討するか、よくよく考えてみよう。最近は『ウォーターシューズ』や『トレイルランニングシューズ』という水はけが良くて濡れてもすぐ乾く靴もある。もっともこれらの靴を選択する場合でも靴下はきちんとはいておくことをオススメする。


3:入場にまつわるいくつかの事柄

@屋根のある場所に入ったらすぐに傘を畳もう。できればこの時点でタオルなどでざっと傘を拭いてしまうと会場内に水を持ち込まないで済む。何らかのレインウェアを着用している場合も同様だ。それがしっかりしたものなら、着用している状態で拭いておけば、会場に入って数分もすれば概ね乾いてしまう。

A特に入り口付近の会場の床は濡れて滑りやすくなっている場合が多い。また、傘を畳みながら歩いている人も多い。無理にかき分けようとして傘で目を突いた、滑って他の人を突き飛ばしたなどのトラブルを引き起こさないためにも逸る気持ちをぐっと抑えて若干人の流れが緩やかになるまでゆっくり歩くこと。

Bそのまま新刊目指してホール内に突撃!…を敢行すると、往々にして迷惑参加者の仲間入りに陥ってしまう。まずは一息ついて屋外の雨装備から屋内用の装備に装備を換装しよう。
傘やレインウェア、バッグやカバン類はよく点検して、濡れていれば水気を拭いて(間違っても館内で傘を振り回して水気を飛ばしたりしないこと!)おくこと。ぽたぽたと水滴を滴らせて混みあったホール内を移動したりサークルを回るのは、周囲の人達にも、サークルにも迷惑行為だ。
 もし服や髪、身体が濡れてしまった、靴の中への浸水を許してしまった場合などもこの時点で早めに着替えや身嗜みを整えておこう。汗もよく拭いて、【入場までに濡れた水気は一切ホールに持ち込まない】気持ちで望もう。

C身体も乾いた、着替えもした、装備もみんなよく拭いた。さあ、いざ出陣!
 …の前に最後にもうひとつ。雨の屋外に長時間待機していた場合などは気付かないうちに体力をずいぶん消耗しているものだ。
 また、湿度が高いと気が付きにくいが、汗をかいたり待機中トイレに行かずに済むように水分を控えていた場合などは特に自覚している以上に体内から水分が失われている。
 待機という【静】からいざスペース廻りという【動】へ、フェイズシフトする前にエネルギーと水分をしっかり補給しておこう。
 【動く前にしっかり補給・定期的に休憩&エネルギーチャージ】を心がけておけば、1日が終わった時点で驚くほどの差が出る。3日間を元気に楽しみぬくために、是非習慣にしてほしい。
 
D混雑したホール内ではカバンにしまえない長い傘は非常に危険だ。【自分は今危険物を携帯している】という認識を常に持って、その持ち方、両先端の所在には常時最大限の注意を払わなくてはならない。
振り回すなどもってのほかだ。
 今持っている傘一本が原因で自分が加害者になってしまうかもしれない、トラブルを引き起こし、コミケの全参加者に迷惑をかける存在になるかもしれない…これは決して大げさな話ではないのだ。
 さらに落したり忘れたりすると準備会への負担倍増! くれぐれも気をつけよう。

4:会場内、不快指数は何パーセント?

 不快指数とは、気温と湿度を合算することでどのくらい人体が負荷を感じるかを示す値だ。先にも挙げた『30℃の部屋と風呂』の理屈で一般的に気温が同じなら湿度が高いほど暑く(寒く)感じる。
 当然、雨の時には湿度が高い。雨の屋外からようやく会場内に入ってもその湿度は常に付いてくる。
 一体それがどういうことになるかといえば、スペースの上の同人誌は湿気で反り返り、外から入ってきたばかりの参加者の顎からは汗が滴り落ちる。何かの間違いで空調の噴出風が当る場所ではどうにも体が冷える。そして、直接雨に当ることがなくなって以降の濡れた衣服は、前述のように体温調整を妨げる…と、ちょっとした悪夢的状況が現出することになる。
 特に本に滴る汗は大問題だ。特にカラープリンター等で表紙を出力した小部数手作りの本などで湿度や滴った汗によって色落ちや水滴跡などが付いてしまったらそれこそ泣けてくるだろう。
 それらを避けるために、サークル側、一般参加者側ともに一工夫と心配りが必要になってくる。
 まずはサークル側の自衛手段。同人誌であれグッズであれ、小数ならば最も効果的なのは予め見本を除いて透明なビニールパックなどにパッキングしてしまうことだ。
 数が多くても見本の下、机に並べるアイテムの一番上だけでもビニールパックしたものにしておき、3つ目以降を受け取ってもらうようにすれば汗落ちによるアイテムへのダメージは大分低減できるだろう。
 また、万一それでも汗落ちなどがあった時のために、すぐ拭けるようふきんやティッシュをすぐに取り出せるように用意しておくとよいだろう。
 一般参加者側は、タオルを必ず携帯してこまめに立ち止まって汗を拭き、定期的に手を洗うようにしよう。これは汗に湿った手にインクが付着しやすくなるためで、購入するしないに関わらず見せてもらった本やグッズを汚さないための最低限の心配りだ。
 なお、タオルは複数本持参し、ある程度湿ってきたら交換しよう。汗や水にぐっしょり濡れたタオルを首にかけているとかえって周囲に迷惑を振りまきかねない。

 

●コミケ会場で着替える方法

 基本的に着替える場所のないコミケ会場(トイレでの着替えが厳禁なことはご存知の通り)だが、ずぶ濡れになってしまったなど、やむを得ず、どうしても着替えたい場合もある。そういった場合は【コスプレ更衣室】へ行こう。
 入り口の準備会スタッフに着替えたい旨を伝えれば、更衣室を使わせてもらえる。
 ただし、更衣室自体はコミケの全時間を通して混みあっているので、時間帯によっては入室できるまでにかなり待つことになる可能性も高い。時間的に余裕をみるだけでなく、着替える衣服を最小に、時間を最短にするために、雨天などが予想される場合は予め着ていくものをよくよく吟味していこう。
 【コミケ規模のイベントでは雨天は一種の非常事態】。この認識をまずしっかりと持ち、ファッショナブルに装うことよりも、自分が快適に、他者に迷惑にならないようにを優先するのも参加者の務めだ。

●以外と使える『雨だからスーツ』という選択

 濡れたり汗をかいても乾きやすいこと、軽量なこと、そして着心地が良いこと…。この条件を満たしてくれる衣服を探し出すのはなかなか難しい。
 しかし、意外と身近に、しかも比較的手軽な価格で、この条件をあっさりと満たしてくれる服が存在する。それがビジネスマンの制服、スーツ&ワイシャツスタイルだ。
 日本全国何万人というビジネスマンが雨でも晴れでもほぼ毎日袖を通すものだけに、雨にも負けず汗にも負けず、軽量速乾形状記憶は当たり前と全天候対応性能は実はかなりハイレベルに到達しているし、靴、鞄といった周辺装備も防水や撥水性に優れたものがちゃんと用意されている。
 毎日着ている人には『何を今更』なことだが、着る物に迷ったら『とりあえずスーツ』という選択はアリかもしれない。その際は靴の防水と靴下にだけは、こっそり気を配ろう。
 

●転ばぬ先のフットケア

 マメと靴ズレはコミケでよく発生するフットトラブルの双璧だ。どちらも足の皮膚が必要以上に湿って柔らかくなると発生する危険性が飛躍的に上がる。
 その予防法と対処法は憶えておいて損はない。
 まず大切なのは【確実に予防していく】こと。何分にもこれらは発生してしまってからでは完全に元の行動力を回復するのは難しい。ファンタジーRPGのように呪文一発で元通り、とはいかないのだ。
 さて、予防法はマメも靴ズレも大差なく、【乾燥】と【清潔】を維持するだけだ。もちろん、靴が窮屈すぎたり、サンダルのベルトなど一部分に力がかからないかなどは予めチェックしておく必要がある。ぴったりのサイズの靴でも濡れれば縮むかもしれないし、普段は大丈夫なサンダルも濡れた足で長時間はいたらベルトやストラップが擦れてしまうかもしれないから、念入りに!
 そういう場所には前もって万傷膏を貼っておこう。多少カッコワルイかもしれないけれど、痛い思いをするよりは予防重視が吉!。
 あとは、面倒でも濡れたらよく拭いて乾かす、靴下を替える、これで殆ど予防できる。一手間かけてベビーパウダーやフットケア用スプレーなどを併用すればさらに効果的だ。
 それでも不幸にして靴擦れやマメができてしまったら、よくよく消毒した針で水疱から水を抜き、傷薬などを塗ってガーゼ類を当てるか万傷膏等を貼るのが対処法だ。
 靴や靴下、足が不潔だとその傷口から菌が侵入して後々水虫や化膿の原因となったりもするので、くれぐれも気をつけよう。


 
■場内マナージャッジメント!■

 何万人という人数が行き交う会場内。みんな限られた時間の中で一生懸命歩き、並び、アイテムを頒布し、コスプレしている。
 もちろん参加者以外の業者さんたちやガードマン、お掃除スタッフ、そして準備会スタッフも頑張っている。そんなみんなの一生懸命でできているコミケだからこそ、厳守すべきルールの他に、他者へのマナーや心配りも必要になる。これらは不思議なもので、みんなが守れば守るほど、会場の環境がよくなり、楽にストレスなく1日を過ごすことができる。
 そんな理想を胸に、会場内で気を使いたいポイントをピックアップ!

×ベンチや座席の占有

 ビッグサイトは会場内に収容できる人数に比べてベンチなどの休憩スペース、飲食店の座席数が非常に少ない(同様のコンベンションホールでは世界有数の少なさなのだ…)。なので、みんなが休むためには、ベンチや座席は効率的にローテーションされなくてはならない。
 まずベンチに荷物や同人誌を置くのは絶対に禁止だ。例え荷物を詰め替える間だけでも、【少しの間だからいいじゃないか】という気持ちは全ての迷惑行為の根源だ。また、喫煙スペースのベンチは喫煙者にとって貴重なスペースだ。お互い他者の嗜好を尊重するのもコミケの大切な精神、非喫煙者は極力譲ってあげるようにしたい。
 さて、休憩しているとついつい戦果に手が伸びて1ページ、また1ページ…、気持ちは分かるが、席が空くのをじっと待っている人がいることは忘れてはならない【あなたは今正に『自分だけ良ければいい』という行動を取っている】ということを認識しよう。
 これが飲食店内ともなれば、更に営業妨害の実害が加わる。既に犯罪行為の範疇に足を踏み入れていることを自覚するべし!

×待機中、歩行中の喫煙

 喫煙という行為自体の是非はともかく、喫煙が【煙】と【吸殻】という非喫煙者にとっては迷惑なだけのものを排出し、小さいとはいえ裸火という危険行為である以上、喫煙者にはその行く末に最後まで責任を負う義務がある。
 逆にその責任を負えない人は、コミケで喫煙する権利はないのだ。
 一般行列での喫煙については、【周囲に声をかけて列から離れ、風下で】がセオリー。煙の行先にも気を配り、当然吸殻は携帯灰皿に回収しよう。
 会場内で灰皿のある喫煙スペースを使用する場合、その付近には大きな円筒型の一見正体不明の構造物があるはずだ。実はそれは大型空気清浄機なので、煙は意識的にそちらに流すとよい。
 なお、喫煙スペースであっても常に周囲への目配りは忘れてはならない。特に雨天などでは人の密度も上がり、好まずとも喫煙スペースの近傍にしか空きベンチを見つけられなった人もいるだろうし、濡れた髪や服には煙草の匂いがつきやすい。これは人によっては耐え難いことだ。
 【何故喫煙者ばかり悪者にされるのか!?】という意見もあることと思うが、コミケでの喫煙という行為は、自分の煙の届き得る周囲全てに目と気を配れ、吸ってよい時と場合をわきまえられる大人にのみ許されたものであることを改めて認識して欲しい。
 それを踏まえて考えて欲しいのが、上記以外、つまり【駅から会場まで】や【駐車場】での喫煙マナーだ。
 歩いてみれば一目瞭然、実に多くの吸殻が落ちている。こういった【自分以外注意する人間が居ない】場ほど真の喫煙マナーが問われるのだ。

×館内行列

 特に雨の時や、どこかのサークルで意図しない行列ができてしまった場合に問題となる。
 ホール内の太い通路沿いに配置され、目の前を延々と行列に塞がれて誰も自スペースに訪れてくれず涙を飲んだ経験をお持ちのサークルは少なくないだろう。
 列に並ぶ側もそういったやるせない思いを強いていることを思いやって、【極力前の人間との間隔を詰める】【 スペースに近づきすぎない】【列を通り抜ける人を妨げない】などの気配りをしたい。
 そして、サークル参加をしても毎回のように長くなっていく開場前からの通称【自己中軍団】には加わらないこと。これは徹夜組と同じ、全コミケ参加者に対する重大な背信であり最低の行為だ。

○差し入れ・プレゼント

 大好きなサークルに、作家に、応援の気持ちを届けるプレゼント。しかしこれにもマナーはある。
 まず夏コミではお菓子類、生花を含めてナマモノ、賞味期限の短いもの、保存性の悪い(潰れやすい、壊れやすい、こぼれやすいなど)ものは避けるのがセオリーだ。また、プレゼントはあくまであなたの気持ちを伝えるものであり、また色々と物騒なご時世でもある。プレゼントにも必ず贈る側の住所氏名を記録したカードなどを副えるようにしよう。受け取る側にとって最も嬉しいのは心と熱意の篭もったメッセージ類であるし、例えファンからのプレゼントといっても、贈り主が分からないような物品は気持ち良く受け取る気にはなれないものだ。

○助け合い

 台車の荷崩れ、カートの破損、重い荷物に小さな怪我や体調不良、トイレタイムに忘れ物、コスプレ衣装の思わぬ破損…etcコミケという巨大なイベントの中、個人が遭遇する小さなトラブルは数限りない。
 それをどうやって乗り切ったかでその日の印象は大きく変わってくるものだ。
 そして、最も印象的なのが、誰かがちょっと手を差し伸べてくれて、それでトラブルが解消できた時だ。
 コミケという場に集った何万人もの同好の士同士、何か困っていそうな人に気付いたら一声かけてあげよう。また、何か困ったら勇気を出して近くの人に助けを求めてみよう。
 誰かを助けてあげられること、素直に助けてもらえること。これはとても気持ちのよい体験だ。
 そして助けてもらった人は、次は誰かを助けてあげられるようになろう。
 参加者同士がもっと積極的に助け合い、注意しあうこと、これが今や世界から注目を集めるイベントとなったコミケを支えていく、たったひとつの冴えたやりかたなのだ。

 
 

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