コミケット閉場〜帰り道


◆帰る際に気をつけることは何?
 午後3時頃から徐々に会場を後にする参加者が増え、周辺の駅や道路も混雑してきます。友達と一緒に会場を出るつもりなら、待ち合わせ場所と時間を前もってきちんと決め、たとえ会期中にはぐれたり別行動を取っていてもきちんと落ち合えるようにしておきましょう。やはり帰宅ラッシュが始まる頃から携帯電話は通じにくくなりますし、朝から使っていた携帯はバッテリ残量がピンチかもしれませんから、『いざとなったら携帯で連絡取り合えばいいや』という考えは最初から持たないようにするのが吉です。
 周辺駅は混雑しているので、改札を通るだけでも一苦労です。SUICAなどのICカード乗車券を事前に用意しておくか、朝、駅に着いた際に帰りの切符を購入しておくと多少は時間短縮に繋がります。
 電車以外にも路線バスやタクシー、水上バスなどの交通機関が複数運行しているので、状況によって使い分けましょう。最寄駅よりも少し先まで足を延ばせば。大混雑に巻き込まれにくくなります。
 注意点として、会場内で買った同人誌を電車の中で広げて読むのは社会的なマナーに違反しています。特に成年向け・BL系同人誌などは会場外の人から見れば「いかがわしい書物」でしかありません。イベントが終わったばかりでハイになる気持ちもあるでしょうが、お楽しみは家に帰るまで我慢して取っておいてください。
 同様に、アダルト向けのイラストや文言が印刷された同人誌の表紙やグッズ、紙袋などもそのまま剥き出しで持って帰ると多くの人たちの顰蹙を買い、コミケット全体の社会的印象を落としてしまいます。あなたが平気だからといって、周囲の全ての人が平気ではないし、1人でも不快に思う人がいる事が予想されるならそれを慎むのがマナー、というものです。
 また、コスプレのまま帰宅することもコミケットのルールで禁止されています。例え市販品の組み合わせで再現できるものであっても、そのまま会場外へ出ず、上着だけでも着替えるようにしましょう。
 これはコミケットそのものと共に、コスプレの対象となったキャラクターを守るためでもあります。その意味をよく考えてみて下さい。
 閉会間際になると更衣室も大変に混み合い、入室できるまでに数十分待つということもあります。ギリギリまで粘らずに余裕を持って着替えを行うようにして下さい。
 会場内ではある程度のお祭り気分も良いものですが、コミケット会場とその1歩外では明確に違う場所であることを思い出すことが大切なのです。

◆荷物の宅配便搬送
 サークル参加者や同人誌をたくさん買い込み、荷物を持ち帰るのが大変という参加者には、会場から宅配便を利用できます。
 会場内ではクロネコヤマトとゆうパックが荷受センターを設け、参加者から荷物を受け付けていますので、受付場所をコミケットカタログで確認しておきましょう。
 送り状は両荷受所の他、各ホールの準備会インフォメーションでも配布されています。
 荷受所ではガムテープ等も用意されていますが、基本的には箱やテープは自分で調達し、送り状を記入貼付した状態で荷受所まで持って行くのがセオリーです。
 なお、閉会間際や特に天候の悪化によって荷受所が移動になった場合などには荷受所に大混雑が発生し、長い時では1時間以上待つなどという事態が発生します(特に雨が降った際はクロネコヤマトで大混雑が過去何度も発生し、語り草となっているほどです)。
 また、重い箱を抱えて受付待ちをするのは体力的に辛い上に夏は日差し、冬は寒風に晒されることになるので、簡単なものでもカート等の運搬補具や上着、帽子等はきちんと用意しておいた方が良いでしょう。
 あなたが一般参加者なら、荷物が程ほど重くなって来た午後早い時点で、荷受所が混雑し始める前に現在の荷物をさっさと一度まとめて自宅へ送ってしまい、身軽になって改めて会場を廻り、午後からの荷物を持って帰宅するようにすると大きなカートやバッグも不要で疲れずに済むでしょう。

◆連日参加する人へ
 現在ほぼ3日間開催のコミケット。遠方から出てきて複数日程に参加する人は宿泊施設を各自で必ず手配してください。会場近く〜都内のホテル、入湯施設、ネットカフェなど、お金がかかっても腰を落ち着けて睡眠をとれる場所を確保してください。
 毎回、会場周辺で禁止されているにも関わらず徹夜で勝手に待機したり、宿泊施設以外の場所に不法侵入して夜を明かそうとしたりする不心得者が数多く出ています。
 言うまでもありませんが、これらの行為はコミケットの開催そのものに重大な障害となっているだけではなく、コミケットは毎回大きな対策費用を強いられ、それがルールを守って参加している全参加者1人1人にまで及んでいるのです。
 東京都の条例では未成年者は夜10時以降は保護者同伴でもカラオケや遊戯施設には出入りしてはならないことになっているので、未成年者が帰宅せずに適当な場所で夜を明かそうとすると補導される場合もありますし、成人であっても事件事故に巻き込まれる危険性が非常に高く、毎回警察が出動する事態が発生しています。
 コミケットというお祭りは会場内、開催時間内においてのみ行われているものです。それ以外の場所や時間ではあなただけがお祭り気分でも周囲はあなたのルール違反を許してはくれません。
 警察のお世話になるような事態はもちろん、安心して休めない場所で無理をした為に疲労と寝不足で体調不良になって会期中に救急車を呼ぶようなことになれば、あなたのみならず家族や周囲の人たちにまで迷惑が及びます。参加者のひとりひとりによって支えられるコミケットです、たった1人の不心得が過去数え切れない数の参加者が大切にしてきたコミケットの開催そのものをあっさりと不可能にしてしまう事もあり得るのです。あなたがその1人にならないよう、『自分くらいはいいだろう、大丈夫だろう』という安易で自分勝手な認識は捨ててから参加して下さい。

◆どうやって行けばいいの?
 コミケット会場では事前申請した一部の『サークル参加者』を除いて、自家用車の駐車ができませんので、一般の参加者はバス、電車、ゆりかもめなど公共の交通手段を利用して会場に向かいます。
 一部の駅からは朝夕の移動時間帯にあわせてビッグサイトと駅を往復する特設バスが出るところもありますが、そういった専用線以外はあくまでも一般交通機関であり、コミケット参加者以外の乗客も同乗しています。大声での趣味的な会話を避ける、荷物で車内通路や座席を占用しない、車内で携帯電話を使用をしないことなどの常識やマナーを守り、社会のコミケットに対する印象を悪くさせないことも参加者の義務です。

◆知人に徹夜しないかと誘われたんだけど?
 コミケットでは開会前/閉会後の会場周辺での滞在を絶対禁止と定めていますが、それでも「遠くから来たけれど宿泊費を浮かせたい」、「朝一番で会場入りして目当ての同人誌を入手したい」などの目的で会場付近の公園や空き地、駅周辺などで夜明かしする人は後を絶ちません。こうした数百人にも及ぶ人間が一晩中会場近辺の公園やコンビ二、施設歩道などに滞留するのは近隣住民や施設管理者にとって大変迷惑な行為で、様々な問題のの温床にもなっています。この違反者のたった1人でも何らかの大きな犯罪や事故に巻き込まれたらコミケットの開催そのものが中止されてしまうために、コミケット準備会ではその最悪の事態を免れるため、やむをえず待機スペースの一部にこういった人たちを誘導しなくてはならず、このために人員、金銭、労力、責任上の全てに非常に大きな負担を強いられています。
 このような自分本位で不心得な人たちを「徹夜組」と呼称していますが、当然前述のようにコミケットそのものが認めた行為ではありませんし、ルールを守って参加している他の何万という参加者全員に対してとても悪質な裏切り行為を行っているいわば【コミケットの癌】と呼ぶのがふさわしい存在なのだということを最初に理解して下さい。
 その徹夜組の中には徹夜の為に整理券のような物を配ったり、名簿を作成するなどの勝手な自治行為を行っている者たちが存在します。
 もともとがコミケットのルールを守る気が無い人たちなのでそういった行為も、自分が楽に有利に会場に入るために行っていることに過ぎず、コミケットの参加ルールに則ったものではありません。特にコミケットやそういったルール違反者に対する正しい知識を持たないビギナーが面白半分で徹夜に参加するケースが増えていますが、そういった認識の浅い初心者は彼ら悪質なベテランにとって良いカモでしかありません。
気がつけばわざわざ徹夜してまで並んだ列が無効だったり、順番確保と引き換えに入場後使い走りのようにう並び買いをさせられたりといったことになっていたり、あげく徹夜組そのものを的にした恐喝や暴行(『コミケの前の夜中にうろうろしているオタクは大金を持っているし、自分が既にルール違反をしているから警察などへの通報も甘い』というのは既に一部の犯罪常習者の間では常識です)に遭ったり、逆にそれらを警戒してかの刃物などの危険物所持、未成年者夜間外出などで警察からもマークされるといったように、重大なルール違反の結果トラブルに巻き込まれても誰も味方をしてはくれません。
 その上、コミケットは年末と真夏という非常に環境的に厳しい時期に開催されますから、真夏や真冬に屋外で何時間も過ごした上で更に開場後数時間にわたって動き続けるということになり、言うまでもなく身体に多大な負担がかかります。
 その結果開会前や開会中にもし倒れたりでもすれば(事実倒れる人は大勢います)、ルール違反をした上に周囲の参加者にもスタッフにも、もちろん救急隊にも迷惑をかけるという文字通り最悪の行為となります。
 以上のように、徹夜組はコミケット全参加者にとって一分も認められる存在ではありません。誰に誘われても間違っても自分がその一員とならないのは当然として、友人や知人でも万一徹夜しようという話しを聞いた時には、コミケット参加者の義務として絶対に徹夜はしないように説得して下さい。

◆後書きに代えて:『正直、FAQなのに字が多すぎない?』
 できればもっと簡単に済ませたかったのですが、最低限度のルールやマナーを極力誤解の余地のないように書き記すだけで正直もまだ不十分なくらいです。
 コミケットは世界最大のアマチュアイベントです。多くのスタッフもほぼ全員がボランティアで、中には自分自身がサークル参加しながら時間をやりくりしてスタッフを務めているという人も居ます。主催のコミケット準備会((株)コミケット)からして、会場である東京ビッグサイトをレンタルする必要上法人法人格を持ってはいますが、あくまでコミケットという『場』を確保し、存続させるという目的のために集っている有志なのです。
 そうでえあるがゆえに、コミケットには『コミケットに居る者は全員が参加者である』という理念があります。コミケットにはいわゆる『お客さん』は1人も存在しませんので、普通に同人誌を求めて来場する人も『一般参加者』と呼ばれるのです
 ほんの一握りが勝手気ままな振る舞いをすれば、当事者はおろか、イベントを良くしようとする大多数に迷惑をかけてしまいます。
特に昨今は『萌えブーム』によるマスコミの軽重さまざまな報道、わいせつ図画問題における関係省庁や自治体からの厳しい指摘など、コミケットを取り巻く環境はなお厳しいものがあります。あらゆる部分からマニア・オタクの象徴として見られるコミケットの参加者は、その視線に耐えられるだけの姿勢を保つ義務があるといってもいいでしょう。
 今は楽しいお祭りですが、参加者1人1人の意識の持ちようでコミケットの未来は白にも黒にもなるのです。皆さんのちょっとした気配りがコミケットを支えているということをどうか忘れないでください。
 自分自身が、そして自分以外のみんなが次回以降もまた来たくなるコミケットになりますように。本稿がそのささやかな支えになることを願って。
 


   

 


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