■ご挨拶

 『今回コミケに初めて行こうと思うんですけど…どやって行ったらいいんでしょうか?』毎回、コミケが近づくとどこかしらで聞かれる質問です。
『身近に行ったことがある人が居れば、色々教えてもらえるのに…』というビギナーのアナタに、遠くの先輩達が色々教えてあげちゃおう、というコーナーです。

■使いこなせ、2枚のカード

首都圏をいちいち切符を買わずに移動できる乗車券はコミケにも強い味方、一度使ったら手放せないアイテム!
 でも、ちょっと困った点もある、それが『パスネットカード』と『Suika』というメインになる2つの乗車券で、利用できる範囲が異なるというコト。
 関西方面には、その名も【スルッとKANSAI】という自由乗車券があり、これ1枚で範囲内の全電車に乗れてしまうのだが…残念ながらビッグサイトのある東京ではそうはいかない。
 専用区間と相互に使える区間が入り組んでいて、なかなか一筋縄ではいかないのが困ったところだ。
 そこで、今回の『Comi-Navi』では、この2つの乗車券を徹底解析!

■特徴

【Suica/スイカ】

 2001年にJR東日本がサービスを開始した新システムの乗車券。最大の特徴は、自動改札機の指定部分にカードを触れさせるだけで検札と会計がすむ【タッチ・アンド・ゴー】と、カードにあらかじめ料金を入金して繰り返し使える【チャージ】という新機軸のシステムを採用していることだ。
 定期券と乗車券の機能を併合した『Suica定期券』、従来のイオカードの機能を受け継いだ『Suicaイオカード』、クレジットカード機能も併せ持った『Suikaびゅうカード』の3種類がある。
 事前入金(チャージ)がきちんと行われていれば、定期券でも区間外への乗車が可能なので、利用可能範囲在住で、元々Suicaを利用している場合はそのままビッグサイトまで行けてしまう。
 東京モノレールは、Suicaのみが自由乗降可能なので、コミケ期間中だけの利用でも、スムーズな移動のためには可能な限り導入しておきたい。

○チャージシステム
 Suicaのカードには『デポジット(預かり)料』が設定されている。
 これは、新規にカードを製作するときに支払い、カードが不要になった時にカードを返却する事で返金されるしくみになっている。
 Suicaを新規に製作する場合の最低額は2,000円だが、これは、『カードのデポジット料500円+運賃1500円分』という内訳だ。チャージは以降、1,000円、3,000円、5,000円、10,000円の単位で行え、解約時には残額から払い戻し手数料を差し引いた金額にデポジット料500円を加えた額が返金される。

【パスネットカード】

 地下鉄及び首都圏の私鉄各線をカバーしている。
 テレホンカードと同じ磁気カードで、仕組み的にも最初に決まった金額分のカードを購入し、その金額分使用可能という仕様のもの。
 カードを直接自動改札機に通すことで、その都度切符を購入することなく乗車でき、現在、JRを除く21社の路線を相互利用できるが、元々、各社がそれぞれの路線で使用していたカード乗車券の規格を統一したものなので、各線独自のシステムに対応した二重機能のものもあり、少々混乱しやすいのが難点。
 使用、未使用に関わらず、カードの残金は返金されないが、切符を購入するや、精算の際にも使用可能だ。
 イベントに合わせたイラスト、柄の記念カードが発行されることもあるので、コレクションの楽しみも。

○どこで買えるの?
 相互利用可能な各鉄道会社の駅券売機や窓口で購入できる。
 定額1,000円、3,000円、5,000円の3種類で、有効期限は無い。
 首都圏の金券ショップ等でも購入可能。

 都営バス他のバス会社が発行してる首都圏バス共通乗車券『パスカード』とは共有できません。

 パスネットカードの購入法、利用法、使用可能路線などについては、以下のURL『パスネット協議会公式ホームページ』に詳しく掲載されている。
http://www.railfan.ne.jp/passnet/

■要注意 精算の罠!!

 コミケ会場である東京ビッグサイトにアクセスしている路線はご存知、『ゆりかもめ』『りんかい線』の2本だ。
 いかに精算の手間を省き、所要時間を短く、乗換えを少なくするかがポイントとなってくる。

 ところがせっかく会場の近くまでやってきても、目的地までの料金分きちんと購入されていない切符や残額に不足のあるカード、直接連絡線の自動改札機を通過できないタイプのカード乗車券で乗車してしまっていると、『清算待ち』という罠に落ちてしまうハメになる。

Suicaの項で延べたように、Suica以外のJR乗車券ではりんかい線の改札を抜けられないが、りんかい線の片方の終点である大崎駅では、改札の通過なしでJR線からりんかい線へ乗り換えられてしまう。通常のJR乗車券やイオカードでの乗車は間違いなく清算待ちに捕まってしまうので要注意だ。
(しかも、カード乗車券類での清算は紙の切符よりずっと時間がかかるのだ…)

 大崎駅をはじめとする接続駅では、Suicaを用意していない場合、面倒でも一回改札を抜けて、改めてりんかい線の切符を購入しよう。その方が、結果的に早く国際展示場駅の改札を抜けられるので覚えておこう。
 また、Suicaを利用している場合は、事前入金(チャージ)を十分に行っておくこと、パスネットカードの場合も、残額に余裕があるものを用意しておくことが大切だ。

 まったくもって、『急がば回れ』。会場を目前にしながら駅から出られないと言う事態は絶対に避けたい。スムーズに駅に着き、そのままスムーズに出られるよう、最後のツメを怠りなく。

●料金

・りんかい線 大崎駅・大井町駅〜国際展示場:320円
・りんかい線 天王洲アイル駅・品川シーサイド駅〜国際展示場:260円
・りんかい線 新木場駅〜国際展示場:260円

・ゆりかもめ 新橋〜交際展示場正門駅・有明駅:370円
(ビックサイト最寄は、国際展示場正門駅。入場ゲートがある西地区2階エントランス方面に到着します。東地区に向かう場合も、こちらで降車する方が若干早く移動できます。
ただし、一般入場開始直前など、時間によっては行列の関係上次の有明駅か、手前の青海駅で降車した方が楽な場合もあります。)

■忘れちゃいけない基本ルール

 コミケには様々な禁止事項がある。中には、他の同様なイベントでは禁止されていないものも多いし、カタログの注意事項の熟読をしても、そこには書かれていない、共通認識として成立しているルールやマナーも数多く存在する。
 コミケという特別な場所では、コミケだけのルールがある。それは、何十万人という参加者がトラブル無くコミケを楽しめるように定められた約束事であり、また、コミケそのものが、様々な場所的・状況的な制約や、社会的な要求の中で続いていくための協力を、参加者にお願いしているということでもある。
 特にビギナーのみんなには、【参加者あってのコミケであり、コミケあっての参加者】ということを理解しておいてほしい。
 一般も、サークルも、コスプレイヤーもみんなが等しく、コミケの参加者。【コミケにお客様は居ない】のだ。
 『参加』という言葉を辞書で引けば【団体・組織等、目的を持った集団の一員となり、行動を共にすること】とある。
 たとえ初参加でもあなたは、コミケと、他の全参加者に対して、等しく参加者としての義務を負っている、という事実を、くれぐれもお忘れなく!

■一般参加の基本十ケ条

壱:カタログを購入
弐:諸注意、参加の決まりを読む
参:サークルチェックをする
四:交通プランを立てる
五:持ち物を用意する
六:前日はきちんと寝る
七:会場付近での徹夜は絶対禁止
八:出発は余裕を持って
九:撤収はお早めに
拾:閉会後の居座りは大顰蹙

■サークル参加基本十ヶ条

壱:遅刻厳禁
弐:まずは隣近所にご挨拶
参:見本誌は先に用意しておく
四:サークルスペースは整理整頓
五:隣のスペースにはみ出させない
六:釣銭の用意は十分に
七:近所迷惑注意!周りをよく見て
八:出たきり厳禁!
九:出かける時は声かけて
拾:撤収準備は余裕をもって

■コスプレ参加基本十ヶ条

壱:コスプレして来ない、帰らない
弐:カタログの注意事項は熟読!
参:更衣室以外での着替え絶対禁止
四:更衣室での仕上げ作業はひんしゅく
五:自分の荷物は、自分で持つ
六:いかなる状況でも盗撮に注意
七:望まない撮影には、はっきりNO!
八:あなたの言動=キャラの評価
九:着替えは手早く、休憩は別所で
拾:更衣室は大混雑!早めの撤収を

■準備万端で夏コミを乗り切れ!

 『夏コミという環境を一言で表現すると?』という問いを経験者に投げてみれば、間違いなく異口同音に『暑い』という答えが返ってくるだろう。数十万人の参加者が口を揃えるほどに、実際…暑いのだ。
 最近でこそ雨なども降るようになったが、少し前まで、コミケの時に雨が降るなどということは考えられなかった。『暑さ対策に加えて雨対策まで考えなければならなくなった…まだ暑いだけのほうがマシだったよ…』なんてぼやくベテランも居るくらいだ。
 そんな過酷な夏コミを無事に乗り切るためには周到な準備と、正しい知識が必要不可欠。
 コミケの過酷な環境を少しでも快適に過ごすために、現地で困らないために、対夏コミ装備一覧をお届け!

■一般参加者編

□配置表
□サークルチェック表
□買い物用お金
□交通費・予備費
□タオル2本以上
□ハンカチ
□ポケットティッシュ
□ウェットティッシュ
□常備薬・救急用品
□身分証明書類
□筆記用具
□時計
□水・飲料
□非常食
□バンダナ・小風呂敷
□ゴミ袋・コンビニ袋
□テレホンカード・小銭
□予備バッグ(トートバッグなど)
□予備の着替え類
□携帯電話
□携帯電話の予備バッテリー
□喫煙者は携帯灰皿

Hint!!
・綿の衣服は汗がなかなか乾かない。着替えを用意するか、ポリエステル系の速乾性の服を着ていこう。
・特に未成年の参加者は、必ず家に連絡を入れよう。帰宅時間は厳守!
・携帯電話が通じなくても大丈夫なように、待ち合わせなどは事前によく相談しておこう。
・携帯が発信できない場合でも、公衆電話から携帯にはかかる場合が多い。1枚はテレホンカードの用意を。
・かかりにくい状況で何度も電話をかけたり切ったりすると、バッテリーの消耗が激しくなるので、予備電池は用意しておこう。

■一般行列編

□折畳傘、携帯カッパ
□帽子・サングラスなど
□日焼け止め
□折畳イス・敷物
□大き目のタオル、バンダナなど
□凍らせたペットボトルなどの飲料
□朝食

Hint!!
・携帯扇風機を持っていく場合は、水を入れたスプレーボトルも一緒に持って行こう。
しゅっと一吹きすれば蒸散作用で涼しさ倍増!
・とはいえ行列内で喫煙やスプレーの使用はマナー違反。周囲の人に一声かけて、列から抜けて風下で。
・日傘は、周囲の人に怪我をさせないよう、十分注意!歩き出したら畳もう。
・ゴミの置き去りは絶対にダメ! 立ち上がる時は周囲のゴミを拾おう。
・周囲に気分が悪そうな人がいたら、スタッフに連絡しよう。

■コスプレイヤー編

□完成したコスチューム
□針と糸、接着剤などの補修道具
□細いヒモか太めの輪ゴム
□荷造りベルトなど
□折り畳みできるバッグ
□メイクキット、ブラシ、クシなどの身だしなみ道具
□タオル、大判ハンカチ、汗拭きウエットティッシュなど
□制汗スプレーなど
□メモ帳とペンなどの記録用品
□コスチュームの時に貴重品を入れておくポシェットやポーチ
□カメラ

Hint!!
・脱いだ服は畳んでくるくる丸め、ヒモや輪ゴムで止めるとコンパクトに。
・万一を考え、着替えを入れるバッグの口は簡単に開かないよう鍵をつけておこう。
・写真をお願いされたら、極力相手の連絡先を聞いておこう。
・取材の場合はちゃんと腕章をしているか確認、相手の名刺を必ずもらおう。

■サークル参加者編

□サークル入場券(1人1枚)
□参加登録カード(記入・捺印)
□サークル駐車券(事前に申込が必要)
□見本誌票
□値札
□電卓
□印刷会社連絡先
□メンバー連絡先
□S字フック(机に袋やカバンをぶら下げるため)
□販売記録ノート、小さなスケッチブック
□売上入れ箱・袋
□荷造りヒモなどの切って使えるヒモ6mほど
□マジック・筆記用具・カッターやハサミ
□ガムテープ・ビニール(絶縁)テープ
□ごみ袋・コンビニ袋
□ゴム引き付軍
□テーブルクロス・敷布
□両面テープ又は画鋲
□スペースNo表示ボード
□軽食、おやつ、飲み物
□台車、キャリアーなど
□雑巾1枚
□釣り銭(元の金額は必ず記録しておく)

Hint!!
・特に個人サークルはお隣との助け合いが必須!お互いに気持ち良く過ごせるようにしよう。まずは朝一番の挨拶から。
・スペース背後は共有通路でもあります。背後にあまり荷物を積み上げたり、散らかしたりしないこと。
・スペースの前に人が増えたら、隣のスペースの前にはみ出さないよう、きちんと注意しよう。
・大声を上げての呼び込みは、迷惑なのでやめよう。
・飲み物、軽食類は多少多めに用意し、必要そうなら隣近所にも分けてあげると良い。ただし、時間が経つと傷むものは避けよう。
・頂いた差し入れは早めに中身を確認しておこう。
・駐車場を確保した場合、駐車位置、車のナンバー、車種、色などは、緊急に備えてメンバー全員が分かるようにしておこう。
・不審物チェックの放送があったら、きちんと協力しよう。それ以外にも館内放送には注意を払っておこう。
・閉会時間以前に、両隣のサークルより早く帰る場合は、イスは机の上に乗せない方が良い。
 逆に、閉会時には隣近所のイスでも一緒に机の上に乗せて帰ろう。
・最終日は、帰りの足が確保されているならぜひ撤収作業に協力しよう。そうでなけば、一刻も早く後片付けを終え、帰宅するのも協力のうちだ。

■救急キット

□メディカルカード
□健康保険証
□バンドエイド
□消毒液(マキロンなど)
□清潔なガーゼ
□包帯1巻&包帯留め
□インドメタシン系の軟膏
□目薬
□常備薬
・胃薬
・風邪薬
・頭痛薬/痛み止め
・下痢止め
□その他いつも服用している薬などがあれば

※メディカルカードには、緊急連絡先、かかりつけの病院の連絡先、持病の有無、血液型、通常時の血圧、服用している薬、手術歴、アレルギーの有無などを記載し、保険証と一緒に携帯しよう。

■2003年のビギナーたちへ

いまや数十万人の参加者を集める巨大イベントであるコミケだが、例え全体の規模がいくら巨大になっても、『全員参加者』と『好きなこと、好きなものを好きと表現する場所』であるという大前提は、創立以来何らかわることはない。
 これから参加するとしても、その前提は動かない。前にも書いたが、経験の有無を問わず、あなたはコミケの『参加者』だ。
 何万人も居るから自分1人がちょっとくらい、羽目を外したり、禁止されていることを破っても大丈夫などと思わず、自分1人の勝手な行動が、他の何万人という参加者の楽しみや努力を全て台無しにしてしまうかもしれない、という自覚を持とう。
 不慣れなこと、分からないこと、戸惑うことがあるのはしかたがないけれど、自分も参加者だという自覚を持って参加してみれば、いかにたくさんの人たちが、このコミケという場を守るために協力しあっているかが見えてくるはずだ。
 あなたにも、是非その1人になってほしい。
 ここまで大きくなったコミケ、それを支えるのは、参加者の自覚と協力なのだ。

 
 

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