今年も冬コミの時期がやってきました。
 今回のComi-Naviでは夏とはまた違ったノウハウが必要になる冬のビッグサイトで元気に、快適に過ごすためのノウハウをメインにお送りします!
 『どんな準備が必要なの?』『何に気をつければいいの?』という方は必見!


■冬のビッグサイトってどんなとこ?

 ビッグサイトの環境で注意すべき点として以下の3つが挙げられる。
1つめは、夜から朝方にかけては、とても冷え込むこと。
2つめが空気がとても乾燥して、ホコリが多いこと。
3つめは会場内でも寒暖の差が激しいということ。

 では、それぞれについて対策を考えていこう。

1,寒さは上から下から

 明け方のビッグサイト周辺が特に冷えるのは、コンクリートやアスファルト自体が冷えている以上に、夜間は陸地より暖かい東京湾から湿度を含んだ風が内陸へ吹き込んでくるためだ。弱い風でも身体から熱を奪っていくので、無風状態に比べてはるかに寒く感じる。
 さて、そういった環境の中では、体温をいかに外気に奪われないようにするかがポイントとなってくる。
 防寒の基本は、冷気や水分を肌の表面に到達させないことと、肌の表面に汗を残さないことだ。そのためには着衣を『雨や風を受け止める層』『断熱する層』『汗を吸う層』と3層に分けて考えるとよい。
 それぞれに何を選ぶかはファッションの範疇に含まれるのでここで多くは語らないが、逆に何を着て行くにしても、上記の分類にあてはめて考えればそうそう大きな間違いはないはずだ。
 ポイントとしては、最も外側にあたる第1層は極力完全に近い防水性、防風性があるとよく、防寒の中心となる第2層は、保温性と同時に汗を放出するために通気性が求められる。
 その上で、肌に直接触れる第3層については汗をよく吸うことと、吸った汗を残さないことが要求され、このあたりは夏と同様だ。

 その上で、更に『体温を逃がさないこと』という、第4の要素が加わってくる。 もちろん(座った時に腰や背中が出てしまうような服装は論外としても)露出している肌の面積にもよるが、基本的には、首、手首、足首などは太い血管が体表近くを通っているために、これらの部位が外気に触れているとそこから体温が奪われやすい。マフラー、手袋、丈の長い靴下などで重点的にカバーするだけでも、だいぶ違ってくる。
 スカートなどの場合ならストッキングの着用、膝掛け等の用意は忘れずに。
 ズボンもそれ1枚ではそれほどの防寒性は持たないので、下にアンダーウェアを着用するか、上にかけるものを用意しておいたほうがよい。
 
 また、掌、足の裏等も血管が集中していて体温が奪われやすいポイントだ。特に足の裏は靴底と靴下ごしとはいえ、冷たい地面に直に接するので熱も逃げていきやすい。厚い靴下や靴の中に入れるタイプのカイロ、入れ替え用中敷きなどで断熱を計ったり、暖めてやろう。
 ちなみに、靴中用カイロも通常のカイロ同様、暖まるまでに時間がかかり、また発熱するためには酸素が必要なので、家を出る時や移動中に開封してポケットの中に入れて十分発熱させておき、会場に到着して並びはじめる時に、靴の中に入れるとよい。
 ちなみに靴そのものからも意外と熱が逃げやすいので、靴の上にもタオルの1枚もかけてやればより完璧だ。


2、喉を守って、明るい新年

 冬の関東地方は、空気がとても乾燥していて、風が吹いていることが多い。加えてビッグサイト周辺は工事が行われていること、多くの人が集まっていることもあって、大変ホコリが多い環境になっている。
 そんな場所に長時間いれば、喉を痛める危険性はとても高い。
 時期的にも風邪が流行する頃でもあり、コミケにけて様々な無理をしていれば、終わった瞬間に気が抜け、そこで体調を崩して寝(込み)正月になってしまうというパターンも多いだろう。
 それを避けるためにも、行列中、会場内、帰宅後、折々にうがいをするようにしよう。また、喉飴などを携行し、時々なめておくのもよい。
 冷えと喉を痛めることさえ防止できれば、寝込正月に陥る可能性はかなり低く抑えられる。

 動いていれば寒くないということもあって、冬には夏以上についつい体力を消耗しがちである。Comi-Naviでは夏同様に、冬も90分から120分くらいの間隔で15分くらいの『リセットタイム』を設け、トイレに行ってうがい、手洗いをし、ちょっと休憩をとっておやつや軽食でエネルギーの補給&体調を確認、カバンの中身、お財布の中身もついでに確認して、帰宅のタイミングを考えることをオススメしたい。
 なお、最終日が終わってなお体力に余裕があるようなら、ぜひ会場の撤収(机、椅子の片付け作業)に参加してほしい。
 この作業はサークル参加者に限らず、だれでも参加できる。人と机に埋め尽くされていたホール内があっという間に何もない空間に戻っていく様は、一度見ておく価値がある。


3、劇的温度差に負けるな

 これは特にサークル参加者にとって大きな問題だが、ビックサイトは場所によっては屋外より寒い。どこが寒いかといえば、外に面したホールの出入り口(搬入口)近辺だ。
 これはその出入り口のシャッターが会期中のほとんどの時間を通して開いたままとなるためで、特に海に面した出入り口付近は寒風がもろに吹きつけ、とても寒いうえに本やチラシは飛ばされるわ、看板類は立てられないわ、ホコリはひどいわ…という悪条件に晒されることになる。
(なお、各シャッターは雨天でない限り基本的に館内の二酸化炭素濃度を検知して自動的に開閉されるのでどこに嘆願しても原則閉まらないのだ)、逆に人気ジャンルが集中する場所などでは、人いきれで大変な熱気となり、夏と大差ない薄着で、冷たい飲み物を飲む光景も珍しくない。
 サークル参加者は今一度配置図を広げて、自分のスペースがどういった場所に配置されているのかを再確認しよう。
 それによって、行うべき準備は大きく変わってくるはずだ。
(これらの情報については、Comi-NaviのWebサイトで追加情報を掲載予定です。Web環境をお持ちの方はご参照ください)

 もちろん一般参加者もそこを行き来する以上、それらの環境とは無縁ではいられない。
 自分のお目当てのジャンルがどういった場所に配置されているか、島全体を俯瞰して見ておこう。
 特に男性向けなどの人数が集中する場所では、分厚い上着は暑いうえに動きずらい。下に着るものとの組み合わせをよく検討し、脱いで歩くことも考えて着ていくものを選ぼう。  なお、その場合には細いヒモやマジックテープのベルトなどを持って行くと、脱いだ上着をコンパクトに丸めてしまうことができる。
 そのままカバンにくくってしまえば邪魔にもならないので、事前に研究してみるとよいだろう。
 暑い会場内で汗だくになって動き回って体力も消耗し、閉会後日も落ちて寒い会場外に出た瞬間にどっと疲労が襲ってきて力尽きてしまうという事態は避けたいものだ。

■対策必須!? 冬の雨

 前回夏コミでは見事に雨に祟られた。もはや『コミケには雨は降らない』というのは過去の物語にすぎない。
 たしかに関東では冬は雨が少なく、年明け前に雪が降ることは非常にまれではあるが、それでも昨今の気象事情から見れば降雨、降雪に対する備えは必要だといえる。
 夏に雨の中に並んだ経験をされた方は骨身に染みたのではないかと思われるが、夏ですらあれだけ寒かったのだから、冬ではいかばかりだろうか。
 雨の可能性自体は低くても、対策自体は講じておいて無駄ではないだろう。
 
 雨の際にもっとも使われるものといえばもちろん傘、しかしながらこれは歩行の際にはともかく、長時間の待機、しかも人間が密集した行列には全く向かない。
 周囲の傘から流れ落ちた雨水は右から左から飛んでくるし、風に乗って横からも吹きつけてくる。足元にも水が溜まり、靴にもどんどん染みてくる。
 実際今夏の雨の際にも、傘をさしていながらずぶ濡れになってしまった体験をした人は多いと思われる。
 今回は冬である分当然気温は遙かに下になり、より過酷な環境となるのは間違いないだろう。
(その面では、りんかい線やゆりかもめで来場した場合は無理に北1駐車場へ向かわず、そのまま有明ワシントンビルとパナソニックセンター/有明フロンティアビル間の西地区入場待ち行列に並んでしまった方が、多少は環境的にマシである可能性はある)

 さて、いったん服や靴が濡れてしまえば、あとは体温を奪われる一方になり、低体温症などへ一直線となってしまうわけだが…、これを避ける方法は2つしかない。
 1つは、とにかく当日の天気が雨と予想される場合は意図的に遅く会場に着くようにすること。おおむね12:00過ぎくらいに着けば、ほぼ並ばずに入場できるはずだ。
 もう1つは、濡れないか、濡れても大丈夫な算段をつけていくことだ。
 とはいえ、冬は濡れた服が乾きにくく、短い時間でも濡れた服を着ていると急速に体温を奪われるので全面的な『濡れても大丈夫』とはいかないが、以下のことには、最低限気をつけてほしい。
・下着以外の肌着、靴下、シャツなど、直接肌に触れる衣類には極力綿製品を用いない。
・Tシャツ、靴下やストッキング、タイツ、タオルなどは必ず予備を持参する。

 さて、そうなると大切なのは『濡れない』対策である。
 濡れない、とは、直接身体まで雨水が到達しないことをいう。究極、雨水が染みこんでこない衣服や靴を着用すればよいわけだ。
 そうなると当然1つの回答はレインコートや雨合羽(最近は『レインウェア』と呼ぶ)だ。現に筆者は今夏レインウェアを着用して3時間強程一般行列に並んだが、最終的にほぼ一滴も濡れることなく入場できた)これは最近1万円以下の価格帯でもかなり優れた防水性、おまけに中の蒸れを軽減する透湿性という性能まで持ったものが入手できる。
 若干着たり脱いだりが面倒ではあるが、さすがはそれ専用に作られたウェアだけあって、長時間並ぶならこれに勝るものはない。
 ちなみに、コンビニなどで数百円で入手出来るような雨具の類は1時間もすると風が多小防げる以外は着ていないも同然になってしまう。傘とコンビで使用することを前提にしても、『無いよりはマシ』以上の効果は期待しないほうが良い。

 『さすがにそんな専用のレインウェアを購入・持参するのはちょっと…』という向きには、防水性能、撥水性能を持った上着をオススメする。
 確かに安い買物ではないかもしれはいが、きちんと手入れしながら使っていれば数年は優に保つし、普段着として日常の雨や雪の際にも活用できるので、もしコミケに行くために服を新調しようと考えている場合は検討してみてはいかがだろう。
 これと傘を組み合わせれば、かなりの時間保ちこたえることができる。
 なお、種類によらずレインウェアを着る際にはちょっとしたコツがある。それは、肩口に厚手のタオルをかけることである。
 この『お風呂上がりスタイル』によって冷たい雨が(雨具越しではあっても)肩に当たって体温を奪うこと、レインウェアの中が汗で蒸れること、首の開口部から雨が侵入して服を濡らすことを一挙に予防できるので、是非覚えておいてほしい。この方法を知っていれば、ぺらぺらのビニール製レインウェアでも多少は効果を永らえさせることが可能だ。
 もう1つ、レインウエアに限らず雨の際にフードをかぶる場合は、つばの付いた(野球帽型の)帽子を用意するといい。直接顔面に雨があたるのを防いでくれる。
 また、雨具の一種にポンチョというものがある。これは大きな四角いシートの中央に頭の入る開口部とフードを付けただけの実に簡単なものだが、バックパックを背負った上から羽織ることができるので、これと折り畳み椅子などを併用すれば座って快適に全身を雨から護ることが可能だ。
 多少かさばるが服型をしたレインウェアよりは安価で脱ぎ着も楽なので試してみてもよいだろう。特に上着に防水性が無い場合には周囲から飛んでくる雨水避けとして有用だ。
 スノーボード用のウェア類も防水性と動きやすさを兼ね備えているので、会場内で脱ぐことを考えなければオススメできる。

 もちろん、定番の防水スプレーも活用しよう。
 防水スプレーは吹いたらすぐにドライヤーの温風に当てるか、低温のアイロンをかけると一層効果が増す。
 とはいえ、防水スプレーはほとんどの場合、少しかかった水をはじく以上のものではない。いくら念入りにスプレーしても、直接雨に当たると僅かな時間しか効果が持続しないので、本格的な雨が想定されるやはり素材自体が防水性を持ったものを用意したい。
 元々防水性のある傘や衣服やカバン、靴などにきちんとスプレーをしてもう一ランク性能を向上させるのがもっとも効果的な方法だ。

 さて、次は以外とおろそかにされがちな下半身の雨対策を考えよう。
 先にも述べたが、傘をさしていても足は濡れてしまうし、特に足元は、地面に水が溜まっていることも多く直接水がかかる場所でもあるので防水が難しい。
 完全な防水を考えるならば、ゴム長靴はともかくとしても防水層のあるブーツやスポーツシューズ(トレッキングシューズ、スノーブーツ類)を用意しておく必要があり、結局はそれが一番である。『撥水』程度の性能のものは、新品以外では長時間の待機にはほとんど役にたたない。
 それでもせめて、という場合は靴下を選ぼう。
 アクリルやポリエステル繊維、ウールなどの素材製で毛足の長いものであれば、例え靴が濡れていても足自体が過度に冷えることをある程度防止してくれる。
 登山やハイキング用の靴下なら、そういった優れた性能を持つものが数多く存在する。
 2足以上用意しておいて履き替えればより望ましい。
 それでも、濡れた靴を長時間履きつづけることは靴ズレや豆など多くのフットトラブルの原因になりやすいので、可能なら靴自体も2足持参するか、前述の防水靴の用意を薦めたい。

 ズボンについては、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維素材で裏にメッシュや起毛の裏地のあるものを着用するか、同様の化学繊維が混紡されたものがよい。
 一度濡れたジーンズ類は非常に乾きにくいので、雨の中長時間の行列を想定している場合はその上に穿くレインウエアや防水のオーバーパンツを用意していくか、直接濡れたジーンズが肌に触れないよう化学繊維やウールのタイツ型のアンダーウェアを用意していこう。
 女性陣も、ストッキングやタイツは予備を忘れずに!

■アウトドアショップへ行こう■

 夏にも薦めたポリエステル系即乾素材を用いたウェア類は、冬でもそのまま活用できる。 更に冬用にはアウトドアウェアの素材として長い実績を誇るウールや、最新の皮膚から発散される水分を吸収してそれ自体が発熱する化学繊維など、これまた様々な性能のものがある。ありふれたフリースやダウンにしても、1ランク上でさらに高性能化や収納に工夫が施されたものが揃っている。、
 冬にしろ夏にしろ、コミケという環境は実はかなり過酷なものだ。そういった環境を快適に乗り切るには、最初からそれ専用に作られたアイテムを使うのがもっとも賢い選択であり、ことアウトドアの世界では性能第一主義が貫かれているために(…そのお陰でカラーやデザインがいまひとつ、という面もなきにしもあらずだが…下着や靴下なら余り問題ではないだろう)多少思いきった値段であってもよいものを購入すればその分の恩恵はしっかりもたらしてくれる。
 興味を持った方は、是非一度手近なアウトドアショップや大型スポーツ用品店を訪れてみよう。ウェアに限らずバッグ類や細かいツール類に至るまで、コミケで『使えそう!』なグッズの宝庫であることに驚くだろう。

■アイディアグッズ『筒膝かけ』■

 膝掛けをかけても脚の裏側が冷える、という経験はないだろうか?
 体温を左右する太い血管は膝の裏側を通っているので、膝の表側を暖めても(直接風が当たらないだけでも大分暖かくはあるのだが)冷える感覚自体はそれほど変わらなかったりする。
 そこで一工夫。フリースなどの膝掛けの一方の辺に20センチ程の間隔でいくつかホックかマジックテープを縫いつけ、反対側のはじから2、30センチ程中に入った場所(この辺は足に合わせて適宜調整されたい)に、同間隔でホックの受けを縫い止める。
 コスプレ衣装を作り慣れている人なら30分とかからずに完成させられるかもしれない。
 これで、脚をくるむようにしてホックを留めておけば、ちょうど寝袋に脚を入れているようなもので、まんべんなく防寒できる。30センチ程の耳の部分が襠(まち)になるので、ホックの合わせ目から冷気が忍び込んでくることもないという仕組みだ。 
 洗濯ばさみが3つ4つあればその場で同様のものを作ることもできる。ひざ掛けを持参する方は是非おためしあれ。 

■『低体温症』『エコノミークラス症候群』『ハンガーノック』にご用心!

1、低体温症は危険度大!

 さて、なぜこれほどまで『身体を濡らさないように、冷やさないように』と書いているかといえば、それは低体温症を予防するためにほかならない。
 低体温症とは、水に濡れたり、寒い場所に長時間いたりすることによって体温が下がり、身体機能に支障をきたす状態のことで、重症の場合は死にも至る夏の熱中症の逆ともいえる一種のショック症状である。
 これは特に手足が冷えた場合、冷えた血液が胴体部に戻ることによって体温がどんどん低下していってそのまま陥る場合が多く、また放っておくと簡単に重症化しやすい性質のものなので、本記事では、しつこい程に防寒と断熱の必要を延べてきた。
 もし行列中などに以下のような状態の人を見かけたら、低体温症が疑われる。
 また、行列中だけでなく、閉会後の脱力状態の時や、コスプレで薄着をしている時、スペースの中でじっとしている時など、様々な場面で発生し得るものだという認識はもっておいてほしい。
 
・震えていたのが、徐々に止まる。
・今まで話していたのが急に無表情になる。
・言葉の発音が不明瞭になったり、ろれつが回らなくなる。
・顔色が蒼ざめ、目の動きが鈍くなる。
・手足だけでなく、首筋や背中等も冷たくなっている。
・身体の動きが緩慢になり、立てなくなったり、足がもつれたりする。
・急に泣き出したり、意味の分からないことを話しだしたりする。

 また、こういった状態の人は、低体温症に陥りやすい。予防策をよりしっかりと講じておこう。

・食事をきちんと摂っておらず、空腹である。
・日頃から標準体温や血圧が低い。
・風邪気味などで体温調節機能や代謝機能が落ちている。
・前日にアルコール類を摂取し、それが残っている(二日酔い状態)。
・汗を多くかいた、雨などに濡れたまま、十分な防寒をしていない。
・過度の疲労状態、睡眠不足状態である。
 
これも熱中症同様、早めなら簡単な対処で回復することができるが、状態が進んでしまうと自力での回復が困難である。複数の項目に該当が見られるようなら、本人が『大丈夫』いっていても念のため早めにスタッフに知らせてほしい。

 なお、低体温症の症状は一見すると貧血に似ているが、貧血からこちらに移行する場合も多いので、どちらにしても安全を考えて早めにスタッフを呼ぼう。
 
 では低体温症を予防する為にはどうすればよいのだろう?
 予防は簡単、ようするに体温を上げてやればよいのだ。

・食事を摂る。暖かい飲食物を摂る。
・定期的にチョコレートなどの甘いものを摂る。
・時々身体を動かす。手足をマッサージする。
・カイロなどで膝裏、脇、首筋などをよく暖める。

 ただし、上記のような低体温症の症状を見せてぐったりとしてしまっている場合は一刻も早い専門家の治療が必要である。
 不用意にマッサージを行ったり、身体を揺さぶったりせずに、上着やひざ掛けなど少しでも暖かいものを掛けてこれ以上体温が低下するのを防ぎながら、すぐにスタッフを呼ぼう。
 意識がまだはっきりしているようなら、暖かい飲み物を少しづつ飲ませるのもよい。
 どれだけ防寒をしっかりしていても、空腹では肝心の体温が上がらない。くれぐれも食事はしっかり摂り、それができない場合でもお菓子類でもよいから、お腹に入れておこう。まずそれが一番最初の予防策なのだ。
 そのためもあるので、是非小型魔法瓶などに温かい飲み物(好みにもよるが甘いものが望ましい)を入れて持参することを強くお薦めする。

2、『エコノミークラス症候群』

 最近徐々に知名度を増してきたものの、まだまだ聞きなれない名前のこの病気、正式名称を肺動脈血栓塞栓症という。
 長時間同じような姿勢でじっとしていたあと、立ち上がって歩き出すとその途端に胸が苦しくなったり、呼吸障害をおこしたりして倒れてしまうというものだ。
 原因はじっと同じ姿勢でいることと、体内の水分が少なくなることによって血行が悪くなった足の血管内にできる血液の塊。これが動き出した際に血流に乗って肺に至り、肺の血管に詰まることによって発生するのだ。
 飛行機でエコノミークラスの狭い座席に長時間座っていて発症することが多かったためにこの名前があるが、同様の条件下では頻繁に発生しうるものだ。
 寒く、トイレを我慢して水分を控えることが多く、数時間にわたって殆ど動かずにいることも多い…と、サークルであれ、一般であれ、コミケはこの病気の実に発生しやすい状態にある(特に高速バスなどを利用して移動される方は二重にその危険がある。十分に注意されたい)。
 予防策は水分をこまめに摂ること、定期的に身体を動かしたり、手足をマッサージしたりすること。
 一般行列でもトイレには最初から1回くらいは行くつもりで、身体に過剰な負担をかけないようきちんと水分は摂り、早め早めに動くようにしよう。こまめな水分補給は喉を乾燥や埃から守るのにも有効だし、1時間1回くらい身体を動かすのは前述の低体温症予防にもなる。サークルでも一般でも、あまりじっとしていすぎるのは身体によくない、ということを覚えておこう。

3、『ハンガーノック』

 前述の2つと異なり、この症状は動いている最中に起こる。
 夢中になって会場を歩きまわっていてふと一息ついたとたんに、まだそれほど疲労はしていないはずなのに急に手足に力が入らなくなってしまったり、座った瞬間に身体の力が抜けて立てなくなってしまった、急にぼーっとして意識を失いそうになったなどの経験をしたことはないだろうか?
 それがスポーツ界で『ハンガーノック』と呼ばれる状態で、簡単にいえば『身体を動かす燃料切れ』である。
 急激な運動や長時間にわたるエネルギー補給がない状態での運動で血液中の糖分が消費され尽くしてしまうことで発生する。
 これはほとんど前触れもなく突然に発生する。酷いときでは数時間意識はあるのに身体が全く動かないといった恐怖体験をすることもあり、さらには、食欲も減退してしまう。また、この状態に陥ると筋肉の痙攣が発生し、手足がしびれたり攣りやすくなったりとさんざんな目にあう。
 予防法は、時々休憩をとってチョコレートなどとにかく甘い(カロリーの高い)物を摂ることだ。
 最近多くの種類が発売されているエネルギー補給系ゼリー飲料などはこれの予防に大きな効果があるので積極的に活用しよう(ちなみに、味としては甘くてもノンカロリーのものでは意味がないので要注意だ。また、油脂類などはすぐにはエネルギーに変換されないのであまり有用ではない)。
 食事をしたら10分くらいは休息をとって十分食べたものが十分にエネルギーに変換されるのを待とう。 
  

 ここに挙げた3つの病気は、いずれも予防自体は大変簡単で、反面一度陥ってしまうとなかなか回復が大変な(下手をすれば命にもかかわる危険性すらある)ものである。
 コミケという場所は身体にとっても一種の非常時である、ということをよく自覚しておく必要がある。
 お祭り気分で精神が高揚していると、ついつい無理をしてしまいがちであるが、しっかり食べ、飲むこと、こまめに動き、休むこと。この全ての基本は忘れずに。 
 ダイエットなどをしている人も、こういった日常とは全く異なる環境下では、しっかりエネルギーを摂るようにしてほしい。
 救急車で途中退場、ということなく、無事楽しく3日間を終えて帰宅し、そのまま笑って新年を迎えよう。

■行列やスペースを離れる時には…■

 単独行の参加者や個人サークルでは、トイレなどで並んでいる行列やスーペースを離れたいという時に困ることが多いかもしれない。
 しかし、周囲の人達も同じコミケの参加者なのだ。ちょっとしたマナーさえ守って声をかければ、喜んで協力してくれるはずだ。そんな、コミケのマナーを少し紹介しよう。
 まず、大切なのは、時間に余裕を持って行動することだ。例えば一般行列は会場時間になったら移動のために立ち上がるし、サークルも閉会時間が近づけは撤収を開始する。そんな時に列やスペースを離れるのは迷惑でもあり、また混雑に巻きこまれたり、風景が変わってしまって元いた場所に戻れなくなってしまったりする。
 そういった事態を避けるためにも、また、特に女性用トイレは、常に行列を経ないと入れない場合が多いので、そういった時間的、体調的な余裕を考慮に入れても、行動を起こすのは早めがのぞましい。

 次に大切なのは、周囲の人は、好意であなたを助けてくれている、ということだ。
 しごく当たり前のことだが、離れている時間は極力短くし(隣のサークルに留守を頼んで延々出たきりなどというのは論外だ)、また、相手にかける負担も少なくするよう、心がけておかねばならない。そうして、戻った時には礼を述べ、今度周りの人が出るような際には、積極的に手を貸すようにしよう。
『困った時はお互いさま』の精神は忘れずに、お互い気持ちよく助け合いたいものだ。
 

1、行列を離れる際には

 トイレなどで列を離れる際には、周囲の人にその旨を告げ、相手の返事を確認しよう。一方的に告げて出てきてしまってはいけないし、相手の都合は最大限尊重しなければならない。
 また、荷物を置いていく場合でも、最低限財布と携帯電話や他の貴重品は必ず自分で携行しよう。それに加えて、ハンカチ、ポケットティッシュ、ウェットティッシュなどをまとめたポーチなどを用意しておくとよいだろう。
 買物の場合には、周囲の人にも何かついでがないか聞いてみよう。
 自分の列を外れる場合は、周囲の風景(特に列と列の間から見える建物や、ランドマークとなる清掃局の煙突などの位置関係)をよく覚えておこう。
 携帯にカメラが付いている場合はその風景を撮影しておくのもよいかもしれない。
 喫煙や電話などの際にも、きちんと一声かけて列を離れよう。特に煙草の場合は煙の行先や吸殻の始末に至るまで気を使う必要がある。会場周辺でも間違っても吸殻のポイ捨てなどをしてはならない。


2、スペースを離れる際には

 サークルの場合は上の行列の基本に加えて、不在の間に来客があった場合の対応も考えねばならない。
 基本的には、現在スペースの上にあるアイテムの数をカウントして上に布などをかけ、スケッチブックなどに『外出中』の表示を明記した上で、売上、釣銭などを全て持ってスペースを離れるのが基本となる。
 間違っても隣のサークルに販売作業を委託したり、金銭を預けたりしてはいけない。 
 自分自身が買いものに出る場合などは、その目的でスペースを空けることを隣にも表示にも明示し、可能ならば戻る予定の時刻も明記しておくとよい。
 ノートなどを用意して、メッセージを残してもらうのもよいだろう。
 戻ったら、アイテム数を再度カウントし、きちんと両隣には挨拶を忘れずに。

 これからは心身共に温かい冬コミを!

 年末ということで、コミケに来る以前の時点で無理を重ねている方も多いことだろう。
また、今回が初参加で、状況も環境も予想がつかない、というビギナーさんもいると思われる。
 それで3日間というコミケに突入し、その後明る新年を迎えるためには、念入りな準備が不可欠であり、そういった準備や対策についての情報は、積極的に交換されていく必要がある。
 コミケを取り巻く状況が変化していくに従って、必要となるノウハウや準備もまた変化していくが、コミケでは十数万人の参加者が、回ごとに少しでも快適に、便利に参加しようと知恵をしぼり、工夫を重ねているのだ。
これはコミケという世界一のホビーイベントの大きな財産である。
 これから参加してくる人に、これまで受け継がれてきた理念やノウハウをきちんと受け渡していくこと、それこそがコミケが成長していくという事にほかならない。
 コミケの掲げる『全員参加者』の理念は、参加する人達全てがお互いに助け合うことによって、意味を持っていくのだろう。
 これをお読みのあなたも、知りたいことや、教えたいことがあったら、是非助け合いの輪に加わってほしい。
 独りで参加するよりも、みんなで助けあった方が、間違いなく快適で、楽しいコミケを過ごせるはずなのだから。
 

 
 

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